ライトノベル Dクラッカーズ レビュー

タイトル Dクラッカーズ 1〜7-2
著者 あざの耕平
イラスト 村崎久都
出版 富士見ミステリー
発売日 2000年11月〜2004年1月


執筆者:jade 各巻評価:C→B→S→A→A→S→S→S
この作品はアクションでもあり、サスペンスでもあり、ファンタジーでもありながら、その本質は一組の幼い少年少女─梓と景によるラブストーリーにあります。そのため熱いバトルを楽しんでいた人にとっては拍子抜けのラストかもしれません。しかしこの物語はたった二人のために始まった物語。この結末は必然であり、またこれ以上ない最良のラストだったと思います。

元々この物語は5巻で終わる予定だったのをそこから新たにプロットを組み直して6,7巻が書き上げられたと5巻のあとがきで触れられています。
確かに5巻で幕を引いていたとしても一つの作品として完結しているように見えますし、少年漫画的な戦闘物の良作という評価を与えられるくらいの出来にはあったでしょう。
しかしながら6巻からの急展開にこそ、この作品を名作まで押し上げているすべての要因が詰まっていると断言できます。
非日常を駆け抜けた戦士たちの日常に溶け込めない苦悩を描き、死が別つよりも遥かに残酷な別れを演出した展開も見事ですが、それ以上に時間の経過による記憶の風化の恐ろしさを十二分に知らしめた文章力はまさに圧巻。そしてその状況を第三者的視点で見ることが出来る主要人物として千絵を配することによってヒロインの置かれた状況の物悲しさ・切なさをよりいっそう強めるのと同時に解決への細い細い糸を手繰り寄せるキーにする辺り、配役の妙も絶妙と言えるでしょう。
また千絵を始め、主人公の二人以外の主要人物一人一人に大きな見せ場を用意してそれぞれのエピソードをしっかりと描ききったところも大きく評価するべきところでしょう。なぜならこれによって二人だけの王国からの脱却─言い換えれば幼かった二人の成長を暗に示していると言えますからね。

シリーズ全体を通して評価を付ければ文句なく
内容からこの物語は1〜3巻、4,5巻、6〜7−2巻の3つのパートに分けることが出来るのですがそれぞれまったく違う印象を与えてくれるストーリー展開なので最後まで飽きることなく楽しめます。また物語中には心に響く名言が数多くあり、胸が熱くなること間違いありません!“とにかく何も言わずに読んでくれ!”と自信を持って声に出せる作品でした。


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